複数のお客様から「有酸素運動をすると筋肉が落ちるって聞いたのですが本当ですか?」との質問がありましたので、本記事を書くことにいたしました。
結論から申し上げますと、場合や条件によって異なります。
有酸素運動によって筋肉量が減少する原因は、体内にあるエネルギー源が不足するためです。体内の主なエネルギーは、炭水化物、脂質、タンパク質です。有酸素運動中は、この順に消費していきます。体内のエネルギーが不足し、筋肉量が減少するケースについて以下に説明していきます。
ケース1
糖質制限をしている
糖質を制限しているとエネルギー不足に陥ります。炭水化物(糖質)は最大のエネルギー源だからです。そもそも論ですが、極端な糖質制限はすべきではありません。健康を損なう可能性も高く、筋肉量も減少します。
減量を目的とし、体内にエネルギー源が不足している状態で有酸素運動を行うと、タンパク質を分解してエネルギーを発生させるため、筋肉量は減少しやすくなります。確かに、減量を目的とする場合は、摂取カロリーよりも消費カロリーが上回るようにする必要がありますが、運動前のエネルギー補給は必要です。有酸素運動による筋分解を予防するためには、適度に糖質を摂取しつつ、減量期ではタンパク質の摂取量を普段以上に多くすることが必要になります。
ケース2
体脂肪量が少ない方
アスリートや学生のように、体脂肪量があまり多くない方がエネルギー不足で有酸素運動を行うと筋肉量が減少する可能性が高くなります。有酸素性能力を向上させたい場合は、しっかりとエネルギーを補給して有酸素運動を行いましょう。
ケース3
筋肥大を目的としてトレーニングしている方
筋肥大を目的にトレーニングをしている方にとって、エネルギー不足になるのは避けたいところです。また、筋肉量が多い方は運動時の消費カロリーも多いため、エネルギー不足になりやすく、タンパク質をエネルギー源として利用されてしまう可能性が高くなります。ケース2と同様にエネルギー補給を心がけましょう。
ケース4
長時間の激しい有酸素運動
長時間にわたる有酸素運動はエネルギー不足になりやすいです。一般的に脂肪を燃焼させるような有酸素運動では20〜30分程度で十分です。有酸素性能力を必要とし、長時間にわたる練習が必要な手の場合は、炭水化物が含まれているドリンクなどでエネルギーを補給すると良いでしょう。
ケース5
筋トレと有酸素運動の組み合わせ
激しい有酸素運動をした後の筋力トレーニングはエネルギー不足になっている場合が多いです。同じ日に強度の高いトレーニングは行わず、日や時期をずらして行うと効果的です。
レジスタンストレーニングと有酸素性運動を同時に行った場合とレジスタンストレーニングのみを行った場合の二郡に分けて実験を行った結果、両者で有酸素性能力に優位な差はなく、筋量の増加はレジスタンストレーニングのみの群が多かったとの報告もあります。NSCA(全米ストレングストレーニング&コンディショニング協会)は、エネルギー不足や疲労の回復が追いつかなく、オーバーワーク気味になりこのような結果になったのではないかとの考察を出しています。
この研究結果から、筋肉を増やしていきたい方は、有酸素運動を無理に行う必要性はなさそうです。それでも有酸素性運動を必要とする場合としては、有酸素性運動が高次元で求められる競技選手ということになります。その際は、上手くピリオダイゼーション(期分け)をして計画的に行いましょう。
他にも考えられることはありますが、以上が主な要因です。
但し、極端に糖質制限をしている、ボディビルダー並みの筋肥大を目的としているなど、特別な条件ではない限り、軽い有酸素性運動が筋肉を著しく減少させることはないでしょう。クーリングダウンやストレスの発散・気分転換になるのであれば行っても問題ありません。気になる方は、エネルギー補給を行いましょう。
<有酸素運動を取り入れながら筋量減少を抑える方法>
1炭水化物をしっかりと摂取する
※特に運動時間(練習)が長い場合はドリンクに炭水化物を入れるなどの工夫が必要です
2カロリー制限は消費カロリーの-500kcal以内にする
3上記のカロリー制限をしている際は、タンパク質を多めに摂取する
4レジスタンストレーニングと有酸素性運動は、時期や日を変えて行う
5休養をしっかりとって回復させる(オーバーワークさせない)
結局は、運動・栄養・休養のバランスが重要であるということです。
トレーンングと共に、バランスの取れた食事と十分な休養を心がけましょう。
また、ダイエットやボディメイクにおけるトレーニングメニューの観点では、筋肥大(筋肉をつける)時期と絞り込む時期を分けることをお勧めします。また、絞る時期でもレジスタンストレーニング(筋力トレーニング)をすることは必要になります。その際は、有酸素運動とレジスタンストレーニングの日を分けるようにしてください。また、前述した通り、クーリングダウンとしての軽い運動であれば、それほど気にする必要はありません。
目的に応じて、無理せずトレーニングをしていきましょう!
当店では、一人ひとりに応じたトレーイングプログラムの作成・指導を行っております。お気軽にご相談ください。